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【介護士になったきっかけ】肝細胞癌の彼との出会いが私の介護の道を切り開いた【第2話】

介護士になったきっかけ

伊豆半島はどこを走っても風光明媚な観光地

介護の道を選んだきっかけ【私の物語第二話】をここに綴ります

少し長く、重い話です。

あえて、コミカルなイラスト

「なのなのな」さんの作品を

使わせていただきました。

最後までお付き合いいただけたら

幸いです。

無事に仲居さんデビュー果たしました

制服は二部式着物と言い、

素人の私でも

簡単に着られる

なんちゃって着物です。

教わる事全てが新鮮で、

食事処から、特別室の

お部屋出しの業務まで

こなせるようになりました。

心にも余裕ができ、

休日は、伊豆半島を満喫することが

なによりの楽しみでした。

【修善寺竹林の小径】

【大室山】

何処を走っても

風光明媚な観光地です。

豊かな自然に癒され

美味しいものも

たくさんいただきました。

そして、何より

土肥の夕日は最高でした。

トビウオのお刺身も

初めての経験で、

トビウオ

生で食べられるなんて

驚きでした。

社宅から海岸までは

徒歩10秒。

温泉も入りたい放題です。

お給料は安かったけれど

気持ちは充実していました。

休日を満喫!伊豆高原駅で運命の出会い?

【伊豆高原駅】

休日のある日

伊豆高原駅を

プラプラ歩いていると

一人の男性に

声をかけられました。

観光客かしらね

この方との出会いが

介護士になるきっかけと

なっていくのです。

伊豆高原駅で出会った彼は、いったい何者?

キチンとした

ジャケットを着こなし

お髭が良く似合う

ダンディな方でした。

彼:

すみません

地元の方ですか?

私:

いえ

違いますけど…

伊豆に来て

まだ半年なんですよ。

彼:

そう!僕もなんだ。

ベルギーから

半年前に帰国してさ。

この辺の事

まだよく分からないから

ぶらぶらしてたんだ。

ベルギー?

へぇー、でもなんでここへ?

ほんとかなぁ・・・

しばらくの間

立ち話をしていましたが

彼:

よかったら一緒に

お茶でもいかがですか?

えっ!

これってナンパ?

私に?

この人

やばいかも!?

男性に誘われたのは

久しぶりです。

昭和の男性は

ナンパがお得意ですね。

物腰も柔らかくて

素敵な人だな。

誠実そうで

清潔感がありました。

お茶ならいいよね

万が一

危険な匂いがしたら

とっとと逃げるつもりでした。

構内のカフェでお話が弾みました。

初めてあったとは

思えない程

親しみやすい人。


危険だなんて

疑ってしまい

ごめんなさいです。

帰り際には

お互いの連絡先を

交換していました。

彼は伊東市にある隠れ家宿の

板前さんとして勤務。

お互いバツイチで

同業者という事もあり

共通の話題も多かったです。

子供や孫の話

音楽や料理の事・・・

話題は尽きませんでした。

出逢った彼は癌サバイバーでした

仲良くなるのに

そう時間はかかりません。

3回目のデートで

初めて彼の家に

お泊りした時の事。

彼のお腹に

大きくて深い傷が!

手術痕?

手術の際、

視野を大きく確保するため

大きな傷が、必要だったようでした。

彼:

びっくりした?よね・・・

ごめん

隠していた訳じゃあ

ないんだけどね、

2年前に

肝切除の手術を

してる。

肝臓のほとんどを

取ったんだけど

肝臓ってすごいんだよ!

たった数週間で

元の大きさに

戻るんだからさ(笑)

にこにこしながら

話す彼。

その笑顔に

私の心は一気に

持っていかれました。

その当時も

投薬治療をしており

定期検査も必要でしたが

しばらくは体調も安定しており

板前の仕事も順調でした。

定期健診で癌がみつかる

ずっとこのまま

幸せな時間が続けば・・・

そんな願いも空しく

付き合い始めて、1年経った頃。

定期検査で小さな癌

いくつか見つかったのです。

治療法は

肝内の3㎝、3個の癌を

凝固壊死させるものでした。

(ラジオ波焼灼熱療法)

肝細胞癌は

転移・再発しやすいと

聞いていましたが、

恐れていた事が

現実になりました。

手術の場所は

静岡がんセンターです。

旅館の女将さんに

頼み込み

1週間の休暇をいただき

病院に付き添いました。

当時はコロナ前で

身内でなくても

付き添いは可能でした。

病院内の要注意人物となる

術後の麻酔から醒め

もうろうとした足取りで

彼はタバコを吸い始めました。

(個室です)

制止する声を聞き入れてはくれず

窓辺に立ち

震える手で一服した時の事。

 ジュッ

ふらついた身体で

窓辺に寄りかかってしまい、

網戸に真っ黒な焦げ跡ができました!

当然

看護師さんから厳重注意。

止める事が出来なかった

私も同罪です。

タバコを

取り上げられる事は

無かったけれど

要注意人物として

見張りが厳しくなりました。

そんな時です。

近くで見ていた

助手さんが

肩をすくめて

クスッって

笑ってくれたんです。

キビキビ動く

看護師さんとは対照的で、

優しく

穏やかな助手さん。

彼女の存在が

私たちを

和ませてくれました。

タバコ事件の後も

彼は毎日、病院の外へ私を誘い

パジャマのままで喫煙です。

私:

とても病人には

見えないわ。

早くお家に帰りたいね。

彼:

あー

早くビールが飲みてぇ。

小さいことは

気にしない。

終わったことを

クヨクヨしたって

仕方ないの精神力

少しは気にしてくださいよー

破天荒な人だけど

優しくて

男気全開の彼が

ますます好きになって

いました。

本当に退院して良かったの?

退院直後

真っ先に口にしたものはビールです。

彼は、ベルギーでの生活が

長かったため

日常にビールは欠かせない人でした。

アルコールが肝臓に悪いことなど

百も承知です。

薬はしっかり飲みますが、

ビールも必ずセットでした。

矛盾だらけの生活。

それでも、一緒にいるだけで

楽しい2人です。

けれども、楽しい日々は

そう長くは

続きませんでした・・・

根治が難しい肝細胞癌

前回の手術から

半年後・・・

肝内にまた、

小さな癌がいくつか

見つかりました。

彼:

くそっ、また再発か!?

もう手術は受けねぇ

やぶ医者め!

彼の気持ちを察すれば

やけくそになるのも

無理はありません。

私:

手術しなくちゃ

死んじゃうんだよ。

彼:

かまわねぇ。

もう手術はやらねぇ。

私が説得してもダメ。

娘さんの説得にも

「うん」と言わない。

どうして手術を受けてくれないの・・・

待合のベンチに

2人で座っていた時、

あの時の助手さんが

また、声をかけてくれました。

○○さん、こんにちは。

お元気そうですね!

あの時と同じように

肩をすくめて

クスッて笑いながら

立ち去りました。

私:

ねぇ

本気でそう思ってるの?

命が惜しくないの?

どのくらい

沈黙が

続いたでしょう。

彼:

しゃあねぇやるか!

あの助手さんに、また

救われた私たちでした。

今度もまた

付き添いが必要です。

ダメ元で女将さんに話すしかない。

そうそうお休みを

いただけるとは思えませんでしたが、

彼の事情や、私の気持ちを

真剣に伝えようと試みました。

大好きな彼のためです。

後悔したくはありませんでした。

第2話をお読みいただきありがとうございます。

よろしかったらまた遊びに来てくださいね。

お待ちしています。

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