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再婚、母として、女としての選択|遠ざかる子供と揺らぎ始めた時間

雨降りの紫陽花の道。 ばぁばちゃんの人生アルバム

再婚と子どもとの関係|10回目の引っ越しから見えた家族のかたち

一抹の不安を抱えながらも、私は人生で10回目の引っ越しをしました。
再婚。第二の結婚生活のスタートです。

時計のように正確な夫

日本酒で晩酌。

再婚相手は、勤めていた溶接工場の工場長でした。

真面目で、どこか不器用だけれど、誠実な人。

仕事が終わるとどこにも寄らず

時計の針のように決まった時間に帰宅し、

晩酌の日本酒を楽しみにしていました。

贅沢を好まず、堅実な暮らしを望む人でした。

お金にルーズだった両親の元、弟や妹の親代わりになり、学費を支えたようです。


だから、なおさら私は、

当時まだ返済が残っていたことを、打ち明けられないままでいました。

「このまま、静かに暮らしていけたらいい」

そんな想いを胸に、目の前の生活を丁寧に整えていく日々でした。

同じ職場での働きづらさと、新しい一歩

ハローワークの看板。

再婚後もしばらくは、独身時代と同じ、彼と同じ溶接工場で働いていました。

けれど、夫婦が同じ職場にいることで

周囲に気を使わせてしまうことも多く、
なにより、かつて関係のあった専務が

まだそこにいたことが、気がかりでした

ある日、ふと思い立って口にしたのです。

「パソコン教室に通ってみたいの。これからの時代、役に立つと思うから」

主人は、特に反対することもなく、あっさりと承諾してくれました。

仕事を辞めることには不安もありましたが、
失業手当を受けながら、ハローワークの職業訓練校に通う道を選びました。

三ヵ月間、エクセルとワードの基礎を学び、ようやく履歴書に書ける程度の資格を手に入れたのです。

「これで、事務の仕事が探せるかもしれない」

そんな小さな喜びと、少しだけ自信が持てた瞬間でした。

揺らぎ始めた静かな時間

パソコン作業をする女性の手元。

パソコンの職業訓練を修了し、履歴書に小さな資格を書き加えた私は、ようやく次の一歩を踏み出せました。

面接の日は、朝からずっと心臓がバクバク。

でも、自分の言葉で、自分のこれまでと、これからの希望を、まっすぐに伝えようと努めました。

採用の連絡を受けたときは、ただただホッとしました。

新しい仕事は不動産会社の事務。

少しずつ慣れ、忙しくもやりがいのある毎日。

でもその一方で、家の中の空気が少しずつ変わっていくのを、私は見て見ぬふりをしていたのかもしれません。

息子の外出、娘の沈黙

バイクのメーター画像。

私の帰宅が、主人より遅くなる日も増え、
その間、家には主人と子供たちだけ。

私の再婚に、子供たちは反対しませんでした。

「お母さんが幸せならそれでいいよ」と言ってくれました。

その言葉に、どれほど救われたか分かりません。

けれど、もともと人づきあいが苦手な主人との時間は、
思春期の子供たちにとっては、どこか息苦しいものだったのかもしれません。

間に入る私がいない時間が、彼らには居心地の悪いものだったに違いありません。

次第に、息子は家を空けることが増え、
娘も食事が済むと、すぐに部屋へ引っ込むようになりました

三人だけの時間が遠ざかる

笑顔のテルテル坊主たちが、紫陽花の中で雨宿り。

母子家庭だった頃は、貧しくても、気を遣わずに笑い合える三人だけの時間がありました。

「おかず、これだけかぁ」なんて言いながらも、取り合うようにして食べた夕飯。

布団に並んで寝ながら交わした他愛のないおしゃべり。

それらは、今思えば宝物のような日々でした。

再婚したことで、私たち三人の「特別な時間」は消えてしまったのです。

私は家庭の「真ん中」にいたつもりだったけれど、
気づけば、どこかにぽっかりと空白ができていた。

「これでよかったのかな…」

仕事帰りの夜道で、そんな思いが胸をかすめることが、少しずつ増えていきました。

今日の縁側便り

ガラスの花瓶に生けた、白いアジサイ。

あじさいの季節です。

淡い青、やさしい紫、まだらな白……。

どの色も、それぞれに美しいものですね。

人の人生もきっと同じ。

すっきり晴れた日ばかりではなく、雨の日も、曇り空も、意味があるのでしょうね。

お茶が入りましたよ。今日も一日、おつかれさまでした。

ゆっくりしていってくださいね。

「ばぁばちゃんの台所カフェ」にお立ち寄りくださってありがとうございます。

このブログが、あなたにとっても心の温まる居場所になれば嬉しいです。

また縁側でお待ちしていますね。

おかえりなさい。

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