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自分のココロに正直でいたいと思った日──離婚に至るまでのいきさつ

雨上がりの窓辺に差し込む光 ばぁばちゃんの人生アルバム

「お母さん、どうしてそんな顔してるの?」

ある日、娘にそう言われて、ドキリとしました。

笑っていたつもりだったけれど、
心の奥にあった“偽り”が、きっと顔に出ていたのでしょうね……

前回のエピソードはこちら

毎日を穏やかに過ごしている“ふり”をするのが、だんだん苦しくなっていました。

夫との距離は日に日に広がり、心はとうに擦り切れていたのに、
「家族だから」「子どもたちのために」
当時は、そんな言葉で、自分を縛っていたと思います。

ふたりで過ごす時間が、どんどん減っていった

夜の静かな部屋の灯りと、メモ帳

結婚当初は、笑い合う時間もたしかにありました。
だけど、いつからでしょうか——。

会話は事務的になり、視線を合わせることすら避けるようになっていました。

私が話すことに、彼は興味を示さず、
彼が求めることに、私は応えられず。

せっかくの週末も、自然と別々に過ごすようになっていったのです。

彼はもともと釣りが好きでした。

御前崎灯台のある岬は、波の音だけが響く静かな場所。

彼は、なにも語らず、そこを選んだようでした。

私たちがまだ眠っている早朝、そっと家を出て、
毎週、静かに釣りへ向かうようになりました。

目が覚めると、主人はいない。
そして、私はそんな週末に——
少しホッとしている自分に気づいたのです。

夕方、鯵や鯛を釣って帰ってくるたび、
部屋の空気が、どんどん重たくなるのを感じていました。

「私たちの再婚は、これでよかったのだろうか?」

その疑問が、心に浮かぶようになっていきました。

子どもたちに伝わっていた“空気”

幼い子供が、1輪の花を摘む様子

子どもたちは、何も言わなくても、感じ取っていたのだと思います。

息子は次第に口数が減り、バイクで出かけることが増え、
家を空ける時間が長くなっていきました。

ときには朝帰りをしたり、
未成年の女の子を家に連れてくることもありました。

私は戸惑いました。
自分にも高校1年の娘がいる身。
相手の親御さんのことを思うと、注意せずにはいられなかった。

けれど息子は反発し、
壁やドアに当たり散らして、家のあちこちに穴があく始末。

兄の暴れる姿を見ていられなくなった娘は、
自分の部屋に閉じこもるようになってしまいました。

部屋の隅でしゃがみ込む女子高生の姿

兄が静かになると、
そっと部屋から出てきて、私の顔色をうかがいながら——
一緒に泣いていました。

それでも私は、「大丈夫よ」と笑って見せたんです。
……本当は、まったく大丈夫じゃなかったのに。

「家族のため」と思って耐える毎日が、
気づけば、子どもたちに「我慢する母」を見せていた。


お金の苦労をかけたくない一心で、
偽りの気持ちにフタをし続けていたことに気づいたとき、
胸の奥がギュッと苦しくなりました。

子どもたちの前でさえ、自然に笑えなくなっていた私。

だからこそ——
「もう終わりにしよう」
その気持ちが、だんだんと強くなっていったのです。

離婚を決めた夜

カレーライスを囲む食卓

笑顔がつくれなくなった毎日。
そんな私を、子どもたちはどんなふうに見ていたのだろう……。

そしてある夜、限界が訪れました。

心の奥から、「もう無理だよ」と小さな声が聞こえたんです。

夫もまた

「俺がいる事で子供たちがダメになってしまう。

俺がいたんじゃあ本当の意味で子供たちが幸せになれない」

その夜、ようやく、ふたりとも“限界”に気づいていたのかもしれません。

喧嘩ではなく、話し合いができたのは、初めてだった気がします。

涙も出ませんでした。

「もう、終わりにしよう。自分の心に正直になろう。」

誰かに背中を押されたわけじゃなく、
誰かを責めたいわけでもなく、
ただ私は、自分自身を取り戻したかった!

またあの頃のように、貧しくても笑い声の絶えない暮らしに戻りたいと思ったのです。

これからの暮らしへ

あかね雲

この「再婚と家族の距離」を描いたエピソードは、
私の中でも、とても大きな節目となった出来事です。

二度目の離婚という決断は、簡単ではありませんでした。

何度も迷い、何度も涙を流しました。

でも、今は言えます。

「自分の心に正直であることが、子どもたちにとっても大切なことだった」と。

あの時の子どもたちと、今は笑顔で向き合えています。

【次回予告】

離婚を選んだあと、子どもたちとの関係がどう変化していったのか、
そして、11回目の引っ越し先は?私自身がどんなふうに前を向いていったのかを綴っていけたらと思っています。

今日の縁側便り

雨粒とピンク色の紫陽花

お話を聞いてくださりありがとうございます。

このブログが、あなたにとっても心の温まる居場所になれば嬉しいです。

今日は朝から蒸し暑く、なんとなく体もだるく感じていました。

そんな中、昼過ぎにはザッと短い土砂降り。

まるで空が一気に泣き出したようでした。

雨音を聞きながら、ほっと一息つく時間も、またいいものですね。

これからも、季節の移り変わりや、日々の出来事、そして心温まるレシピなどを、ゆっくりと綴っていきたいと思っています。

どうぞ、お気軽に遊びに来てくださいな。

ではまた、お茶を淹れてお待ちしています。

おかえりなさい。

「ばぁばちゃんの台所カフェ」は千聖の隠れ家メルマガとの出会いから始まりました。よかったらのぞいてみてくださいね。
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