こんにちは、ばぁばちゃんです。
今日は、私が今働いている「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」で感じたことを、少しだけお話しさせてください。
以前はグループホームに勤めていましたが、
夜勤や体力の限界を感じ、日勤だけのサ高住へ。
入居の条件は
「自分でトイレに行けること」
「食堂まで自力で来られること」。
つまり“自立している方”が対象です。
一見すると、まだ元気な高齢者が安心して暮らせる場所──そう思っていました。
けれど、実際に働いてみて気づいたのは、「思いのほか、転倒が多い」こと。
そしてその背景には、
「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」という仕組みの“もろさ”が潜んでいるように感じたのです。
「見守りがあるから大丈夫」…そう思いたくなるけれど

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)では、
「何かあったらナースコールを押してくださいね」が基本。
でも実際のところ、「何かあったときには、すでに遅い」というケースもあるんです。
私の中で忘れられない出来事があります。
忘れられない胸騒ぎ
96歳のご婦人。
毎日お散歩をされ、食事もきちんと自分で来られる、凛とした方です。
ある日、食事の時間になってもいらっしゃらない。
内線で呼び出そうとしたのですが、なぜかその日は胸騒ぎがして、直接お部屋を訪ねました。
そこで目にしたのは、トイレの前で倒れている彼女の姿。
おでこには大きなたんこぶ、鼻血、酸素の数値も危険レベル。
すぐに救急車を呼び、入院となりました。
診断は「軽い肺炎」。
一見元気そうに見えても、体の中では静かに異変が進んでいたのです。
あの胸騒ぎがなかったら──と思うと、今でもゾッとします。
夜のサ高住は、手薄になる時間です

日中は介護資格のあるスタッフが複数いますが、夜になると様子は変わります。
50名ほどの入居者様に対し、高齢のスタッフがひとりで宿直業務。
もちろん、その方が悪いわけではありません。
ただ、「何かあったとき」にどれだけのことができるのか……。
それは、誰にとっても大きな不安材料です。
夜間の「サ高住」は、言うなれば“お留守番”。
目が届かない時間がある、という現実を、ご家族の方には知っておいていただきたいのです。
ご家族様へ──今の元気だけで安心しすぎないで

サ高住は、費用も抑えられていて選びやすい選択肢です。
「まだ歩けているから大丈夫」
「本人もここでいいと言っているし」──
そんなふうに決める方も多いでしょう。
けれど、「歩けているから安心」と思い込まずに、
ぜひ「これから先、変化が起きたときの対応力」にも目を向けていただきたいのです。
介護付き施設とは違い、サ高住は医療や介護サービスを外部から受ける形。
そのぶん、「もしものとき」の対応は限られているのが現実です。
介護士の皆さんへ──その小さな気づき、きっと届いています

私たちは医師ではありませんが、
毎日接しているからこそわかる“違和感”というのがあります。
表情、歩き方、言葉のトーン、反応の速さ……
そのひとつひとつをキャッチする「勘」は、現場にとってとても大切。
時間も人手も足りない中で、心まで置いてけぼりにならないように。
「ちょっと変だな」と思ったら、勇気を出して一歩踏み出すこと。
それが、命をつなぐことにつながる場合もあります。
サ高住を選ぶとき、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?

「自立しているから大丈夫」
「見守りがあるから安心」
そう思いたい気持ち、よくわかります。
でも、本当の安心とは何か。
本当の“自立”とはどこまでか。
ご家族にも、同じ現場にいる仲間にも、立ち止まって考えてもらえたら──
これが、私の現場からの声です。
この話が、これから施設選びを考えるご家族の、ひとつのヒントになれば嬉しいです。
今日の縁側便り

梅雨の足音が、そっと庭の紫陽花を濡らしています。
水色、薄紫、ピンク……
同じ土に咲いていても、それぞれ違う色になるから不思議ですね。
入居者さまが紫陽花を眺めながら
「これは私。こっちはあなたね」と笑っていらっしゃいました。
人も、花も、みんな違って、みんないい。
“自立”という言葉に縛られすぎず、それぞれの色で咲けるような場所を、私たちは作っていきたいものです。

「一人でもいいけど、ひとりじゃないと思える時間」
そんなひとときを、今日も届けられたら──
そんな願いをこめて、「ばぁばちゃんの台所カフェ」は開店中です。
「ばぁばちゃんの台所カフェ」にお立ち寄りくださってありがとうございます。
このブログが、あなたにとっても心の温まる居場所になれば嬉しいです。
また縁側でお待ちしていますね。

おかえりなさい。