借金の渦の中で
無事に引っ越しを終え、息子との暮らしが始まりました。
がむしゃらに働く日々。
しかし、現実は甘くありませんでした。
店舗責任者として、朝から晩まで働きづめの毎日でしたが、借金という現実からは逃れられませんでした。
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いつも付きまとうお金の不安

光熱費、家賃、カードの支払い──
次々に迫ってくる支払いに、頭を抱える日々。
息子の仕事は天候に左右されやすく、休みになる日も多くありました。
それでも車のローンは、容赦なく毎月やってきます。
私はそのローンの連帯保証人になっていました。
母子家庭のわが家では、保証人になれるのは私しかおらず、
定年後の年金暮らしをしていた両親には頼れませんでした。
息子の支払いが滞ることもあり、
そのたびに、当然のように私に請求がまわってきました。
手元に残るお金は、いつもギリギリ。
「どこかに無駄があるはず」と、何度も家計を見直しましたが、
どうしても、出ていくお金の方が多かったのです。
「あと2万円、どうしても足りない……」
計算機を叩きながら、ため息をつく夜が何度あったでしょう。
息子の前では、いつも通りの顔をしていたけれど、
心の中は、不安と焦りでいっぱいでした。
“お金の不安”というのは、
ただの数字の問題ではなく、
体の奥がじんわり冷えていくような、言いようのない怖さがあります。
もう、限界だった

支払いが遅れたある日、ついに職場にまで消費者金融から電話がかかってきました。
携帯に連絡があった事は気づいていたのですが、
「なんて言い訳しよう。次の給料日まで、待ってくれるだろうか……」
そんなことを考えながら電話に出る事を躊躇していたんです。
受話器越しに響いたのは、機械のように淡々とした、冷えきった声でした。
私はとっさに、
近くにいたパートさんの視線をよけるようにして、受話器を静かに置きました。
けれど、その声は、頭の中でずっと鳴り響いて離れませんでした。
仕事中も、帰宅後も、眠る前も──。
胸が締めつけられ、何も手につかなくなっていきました。
携帯が鳴るだけで、心臓がギュッと握られるような思い。
出なければ、会社に容赦ない電話が何度もかかり、
まるで責め立てるような言葉を浴びせられました。
借りている側は、ただただ負い目があります。
「申し訳ありません」「〇日までには必ず返します」
そんなその場しのぎの言葉しか返せませんでした。
どこまで続くんだろう、この生活──
そう思っていたある日、ふと目にしたネット広告。
それが、「過払い金請求」の案内でした。
ふと目に入った「過払い金請求」の案内
「それまで広告なんて気にも留めなかったのに」
「債務整理で、借金問題を解決へ」
その言葉が、まるで今の私だけに向けられているように思えました。
「債務整理をすれば、借金がチャラになるかもしれない」
「でも、クレジットカードもローンも使えなくなるって……」
当時の私には、その選択が自分の人生にどう影響するのか、すぐには判断できませんでした。
けれど、それでも──もう限界だったのです。
このままでは、心も体も壊れてしまう。
私は、助けを求めるように、債務整理について調べはじめました。
四谷の弁護士事務所へ

「もう、やるしかない」
迷いに迷った末、私は債務整理に踏み切ることを決めました。
半信半疑のまま、私は思い切って電話をかけました。
つながった先は、東京・四谷の法律事務所。
住まいからはずいぶん遠い場所です。
交通費もかかるし、時間も体力も必要です。
けれども、迷いはありませんでした。
「ここで人生を変えたい」
その一心で、新幹線に飛び乗りました。
親切に話を聞いてくださった担当の方に背中を押されて、私は日帰りで四谷まで出向きました。
【次回予告】:小さな光に手を伸ばして
不安の中でかけた一本の電話。
「まずは、話を聞かせてください」その言葉に、涙があふれそうになった──
私の再出発は、四谷の弁護士事務所から始まりました。
同じように、誰にも言えずに苦しんでいる方へ。
ほんの少しでも届けばと願いを込めて、続きを綴ります。
今日の縁側便り

明日は七夕。
でも、この年になると「お願いごと」もなんだか現実的。
「ひざが痛くなりませんように」とか「エアコンが壊れませんように」とか(笑)。
ふと、昔の短冊を思い出しました。
子どもたちが「アイスいっぱい食べたい!」とか書いてたっけ。
今日も朝からムシムシ。
買い物ついでに空を見上げたら、雲がモクモク、夏の顔です。
帰ってきて、麦茶をゴクゴク飲んで縁側でひと休み。
風鈴がちりん♪ 風は…うーん、ちょっとしか吹いてないけどね。
やっぱり夏って、体力勝負ですね。

いつも、お話を聞いてくださりありがとうございます。
これからも、季節の移り変わりや、日々の出来事、そして心温まるレシピなどを、ゆっくりと綴っていきたいと思っています。
どうぞ、お気軽に遊びに来てくださいね。
ではまた、お茶を淹れてお待ちしています。