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ありがとうを伝えたくて──父の日に思い出す“あの手紙”をそっと読み返す

ガラスの花瓶に生けられた水色の花と便せん 家族のはなし

今日は、父の日ですね。

父が亡くなって、今年で4度目の父の日。

いまだに私は、父のくれた“最後の手紙”を思い出すと
胸がいっぱいになります。

在宅介護という選択

青空と砂時計

父が亡くなったのは、4年前の真冬でした。

亡くなる数年前から軽度の認知症があり、その後、肺がんに罹患しました。

余命宣告を受け、病院でのホスピスケアの勧めもありましたが、

「住み慣れた家で過ごしたい」という強い希望が、父にはありました。

また、私自身も「在宅介護で父を見守っていきたい」と思い、

勤めていた有料老人ホームを休職し、父と三カ月ほど過ごしました。

日々衰えていく父の姿を目の当たりにすることは

精神的にはかなり辛い面もありましたが、

父は父親らしさを最期まで保ったまま、穏やかに旅立ちました。

○○、誕生日おめでとう

父と娘の手と手が重なり合うシルエット画像。

亡くなる2カ月前、父は私に手紙をくれました。

少し照れくさそうにくれた、誕生日の手紙。

「○○、誕生日おめでとう!」

そう言って、私に手紙を差し出した父の笑顔が、今でも忘れられません。

でも、私の誕生日は4カ月も前のことでした。

認知症の症状で、日付や季節の感覚が
少しずつ曖昧になっていた父。

それでも、私の誕生日を思い出してくれたんだなあ……と、
私はうれしくて、思わず泣き笑いしました。

「あっ、お父さん、覚えててくれたんだね。ありがとう!」

最後の手紙に込められた想い

父がくれた手紙は、ノートの切れ端にそっと書かれていました。

自分の死期が近いことを、わかっていたようでした。

誤字も多く、文章のつながりも少しあいまいでしたが

母を気づかう気持ち三姉妹への励ましや思い
そして「ありがとう」という想いが、いっぱいに詰まっていました。

一生懸命、何度も書き直した下書きノートが、残されていました。

きっと、自分の言葉で最後に何かを伝えたかったのでしょう。

この一枚が、なによりも「私の宝物」です。

【手紙の全文】

文のつながりや表記の揺れも、そのまま残しています。

父の想いを、そのまま受け取っていただけたら嬉しいです。

令和3年10月19日(土)

一年の過ぎるのが早く思えて仕方が無い特別に性しい事も無く医者え行くのが、1つの仕事に思えて来る・

○○は現役だから忙しい生活を・まあ大変かも知うないが必ず子供は母親を良く見ているから自分の子供に親をよく見ているから大丈夫だ・

この年令になって本当に我が子だと信じている。

この先○○さん(母の名)だって皆様にお世話になるでしょう宜しくお願いします・

一人より二人二人より三人と皆んな元気で・今なら少し変だと思った時が今なる事だって・

皆んな充分に気を付けて皆んなで共力して皆んな元気で今後も楽しい顔会わせを計画を考えて遠くは無理です。

7本の指で包丁を研ぐ父

病気が進んでも、父はずっと“父らしい”ままでした。

父は、40代半ばに事故で4本の指を失っていました。

残った指6本と、作り物の指が1本。

それでも器用に、7本の指で包丁を研ぎ続けていました。

私の話にじっくり耳を傾けてくれた、あの横顔。

父は、いつも穏やかで優しくて──
私にとっては大きな山のような存在でした。

ありがとう、お父さん

毎年、父の日の贈り物を選ぶ時間が、私は大好きでした。

「何が一番喜ぶかな?」と、わくわくしながら。

今年は、和雑貨屋さんで見つけた、小さなろうそくを選びました。

「ありがとう」「かんしゃ」「おかげさまで」──
そのひとつひとつの文字に、父の面影が重なりました。

やさしさと感謝の心を照らすりがとうろうそく』

仏壇の前で、そっと火を灯しながら
父に伝えたいのです。

「お父さん、ありがとう」
「おかげさまで、私たちは元気です」
「これからも、見守っていてくださいね」

父が亡くなったその日、忘れられない“ある出来事”がありました。

そのお話は、また別の記事で綴っています。

よろしかったらお立ち寄りくださいね。

今日の縁側便り

真っ白な便せんとカスミソウ

父の日の今日は、父の手紙をもう一度読み返しています。

ありがとう、お父さん。

今もずっと、私の心の中にいますよ。

今日は、父の笑顔に想いを馳せながら
ゆっくりと手を合わせようと思います。

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このブログが、あなたにとっても心の温まる居場所になれば嬉しいです。

また縁側でお待ちしていますね。

おかえりなさい。

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