ここは、「ばぁばちゃんの台所カフェ」。
本当のお店ではないけれど、心の中にある 「実家のような、いつでも帰ってこられる場所」 をブログの中に作ってみました。
子どもや孫たちが、いつでもふらりと立ち寄れる場所。
懐かしい味、優しい言葉、そしてゆったり流れる時間。
そんなひとときを、このブログを通してお届けできたらいいなと思っています。
お店はないけれど、ここではお茶を淹れて、おしゃべりをして、時には思い出話をしたり、時にはおいしいレシピを紹介したり。
まるで実家に帰ってきたような、そんな気持ちになってもらえたら嬉しいです。
亡き父と愛鳥「空」との不思議な絆

3年前、1年の闘病生活の末、肺がんで亡くなった父と、愛鳥との絆をお話します。
余命宣告を受けたのは、コロナ禍真っ只中。
家族で話し合い、在宅介護の道を選びました。
静まり返った家の中では、時折聞こえるテレビの音だけが、かろうじて時間の流れを感じさせてくれました。
そんな父が、
『生活のリズムをつけたい。』
そう言って、小鳥を飼い始めたのです。

毎日同じ時間に餌をあげ、話しかける。
その小さな習慣が、父の一日にリズムを生み出しました。
小さな命を育むことで、父は再び生きる力を得ようとしていたのかもしれません。
小鳥の名は「空」
父が名付け親です。
「空」に話しかける父の声は、以前よりもずっと優しく、穏やかでした。
放鳥すると、遊び場は必ず父の頭の上。
ちょこんと乗っかり父の気持ちに答えていました。

父は口笛がとても上手な人で、その口笛に合わせ「空」も鳴きます。
口笛の音色、「空」の鳴き声が、見事にシンクロしていました。
ところが、父の優しい口笛が聞こえなくなった日から、「空」の声は、いつしか小さく、悲しげなものへと変わってしまったのです。
あんなに楽しそうにさえずっていた「空」が、一言も発しなくなってしまったのです。
静まり返った部屋で、母は何度も何度も口笛を練習していました。
楽譜もない口笛・・・
時には、涙を流しながら。
それでも諦めずに吹き続けました。

「空」は、その間もずっと、寂しそうに佇んでいました。
そして、どれくらいの時間が経ったでしょうか。
あの日、母の口笛に応えるように、「空」が再び鳴き始めたのです。
『お父さんの口笛が、帰ってきた…!』
母は、震える声でそう呟きました。
「空」は父が亡くなる当日、不思議な行動を起こしました。
いつもなら、放鳥後に呼びかけると、必ずゲージに戻ります。
しかしその日は、いくら呼んでもゲージに入らず、餌も口にしません。

父が六十数年間、欠かさずネジを巻いていた柱時計の上に、ずっと止まったまま・・・
柱時計のあるこの部屋で、父は闘病生活を送っていました。
柱時計の上から、ジッと父を見守っていた「空」が23時を回った頃、急にゲージの入り口に降りてきました。
入り口でそっと後ろを振り返り、静かに止まり木で羽をおろしました。
それから間もなくして、父の容体が急変!
呼吸がみるみる荒くなり、あっという間に父は息を引き取りました。
「うそ!?お父さん!お父さん・・・」
母と、私たち3人姉妹の見守る中、駆け足で逝ってしまった。
生前の父はせっかちな性格でした。
「亡くなる時までせっかちなんだから!」
今では父のエピソードとして、話せるようになりました。
今思うと、柱時計に止まっていた「空」と一緒に、父が上から私たちを見ていたように感じてなりません。
「空」が後ろを振り返り、静かにゲージに入ったのは、もしかしたら最期に父が「空」の体を借りて私たちにお別れを言ったようにも思えました。
「父と空の絆」、なんとも不思議な体験でした。

「空」は今も元気です。家族もふえました。
キッチンに立つ母の肩に乗る「空」の姿は、父が今もそばにいるような温かい気持ちにさせてくれます。
生前の父はキッチンに立つ母の側でよく話をしていましたから。
母は「空」と話しながら、今日も父の事を思い出しているのでしょうね。
闘病生活の中で、「父と空」が育んだ深い愛情。
「空」の世話を通して、父は生きる喜びを見出し、「空」もまた、父の愛情に精一杯応えていたと思います。
口笛のシンクロ、そして父が亡くなった日の「空」の行動は、私たち家族にとって不思議で、まさに奇跡のような出来事でした。
再び鳴き始めた「空」のエピソードは、父と母の愛情の深さを、より強く感じました。
今日の縁側便り

「私の一押し!緑茶レモンティーです。」
す~っとして、ホッとしますよ。
さあ、どうぞ。
抹茶とレモンの香りがたまらない。
ほんのり甘味がちょうどいいです。
去年、牧之原市の「ななや」さんで試飲してハマってしまいました。
もし父が生きていたら、『お茶は渋さがいいんだよ』と、きっと少し眉をひそめるでしょう。
やさしい父のことだから『これはこれで、悪くないな』なんて、照れ隠しのように言ったかもしれません。
今朝も雨。午後には止むみたい。
雨にぬれたサクラも風情があっていいけれど、サクラ大丈夫かしらね・・・

この「ばぁばちゃんの台所カフェ」は、あなたが 「ちょっと疲れたな」「のんびりしたいな」 と思ったときに、ふと立ち寄れる場所でありたいと思っています。
実家の縁側に座って、お茶を飲みながらホッとするように。
これからも、季節の移り変わりや、日々の出来事、そして心温まるレシピなどを、ゆっくりと綴っていきたいと思っています。
次回は、私がハマった『ななやさんの緑茶レモンティー』の魅力をたっぷりご紹介しますね。
お楽しみに!
いつでもお気軽に、お茶を飲みにいらしてくださいね。
ではまた、お茶を淹れてお待ちしています。
今日もあなたの心に、ほっと温かい時間が訪れますように。
読んでいただき、ありがとうございます。

おかえりなさい。
「ばぁばちゃんの台所カフェ」より