昨日、母の姉(90歳)と、母の兄嫁(88歳)が一泊で泊まりに来ました。
数年ぶりの再会です。
玄関に入るなり
「まぁ、元気だった?」
「今日はお世話になります。」
と、二人ともなんとも嬉しそうな顔。
さっそく夕飯の支度をして、
まずはビールで乾杯です。
高齢とは思えないほど食欲旺盛で、
よく食べて、よく笑って、話が尽きません。
まるで昔に戻ったような、にぎやかな食卓でした。
伯母の時間は、あの頃で止まっていました
90歳の伯母は認知症があります。
同じ話を何度も繰り返します。
何回どころではありません。
5分も経たないうちに、また同じ話。
そしてまた少しすると、さっきと同じ話。
エンドレスでした。
私は介護士ですから、認知症の方との接し方は心得ているつもりです。
けれど、身内となると
やっぱり胸の奥が少し違うのですね。
伯母は私の名前をちゃんと覚えていました。
それが嬉しくて「伯母さん、本当に久しぶりだね。お元気そうで何よりです。」と声をかけました。
でも伯母の中では、私はまだ若い娘のまま。
実年齢を話したら
「えっ?もうそんな年なの?」
と、目を丸くしてびっくり。
少し混乱している様子。
伯母の記憶は、どうやらどこかの時代で止まっているようでした。
「私はバカになっちゃった」
伯母は自分の娘のことは分かります。
でも孫やひ孫の話になると
「あーそうだったかなぁ」
と少し首をかしげます。
それでも笑って話しているのですが、
ふと寂しそうな顔をして
「何かがおかしい」
「私はバカになっちゃった」
と小さな声で言いました。
その言葉を聞いた時、
胸がきゅっと締めつけられる思いがしました。
時計も読めません。
お風呂も母の手助けで、なんとか入ることができました。
「この前いつ頭洗ったかな。覚えてない。」
そんな言葉も出てきます。
介護士としては慣れている場面なのに、
身内だと、やはり少し切ないものですね。
社長夫人だった伯母
伯母は昔、社長夫人でした。
子どもの頃の私は、
どこか近寄りがたい印象を持っていたように思います。
わが家は普通のサラリーマン家庭。
両親はカツカツの生活で、私たち三人姉妹を育ててくれました。
子ども心に、伯母は
少し遠い世界の人だったのかもしれません。
けれど今、目の前にいるのは
ただ一人の90歳の女性です。
化粧っ気もなく、亡くなった祖母の顔と重なります。
母も、伯母たちも、
みんな夫に先立たれました。
ふと伯母が言いました。
「男どもはもう居らんか」
そして
「そうか」
と言って笑いました。
その言い方が、なんだか伯母らしくて
私も思わず笑ってしまいました。
今日の縁側便り

今朝、
88歳の伯母がこんなことを言いました。
「すごく勉強になったよ」
「認知症への接し方って大変だねぇ」
そして私に向かって
「○○ちゃん、大変な仕事、よくやってるね」
「世の中の役に立つ仕事だよ」
と、ねぎらってくれ
なんだか少し照れくさい気持ちになりました。
お昼ご飯を済ませて、伯母たちを家まで送り届けました。
車の中でも、伯母は何度も何度もお礼を言います。
「○○ちゃんにはお世話になりっぱなしで、本当にありがとね」
「何にもお返しするものが無いでごめんよ」
そう言いながら、そっと1000円札を差し出しました。
「気持ちだけいただくね」と断ったのですが、
伯母は一歩も引きません。
「受け取ってもらわないと、もう来れないから」
そう言って、真剣な顔をしていました。
母と私は顔を見合わせて、思わず苦笑い。
このままでは伯母の気持ちが収まりそうにありません。
結局、その1000円を
「ありがとう」と言って受け取ることにしました。
なんだか少し切ない気持ちにもなりましたが、
それが伯母の精いっぱいの感謝の気持ちなのですね。
その思いを、しっかり受け取ろうと思いました。
また、我が家に遊びに来てもらえたら嬉しいです。
90歳の伯母とビールで乾杯した夜。
よく食べて、よく笑って、
そして少しだけ切ない夜でもありました。
人の記憶はだんだん薄れていっても、
笑って食卓を囲む時間は残るのですね。
人生の終盤は、こうして静かにほどけていくのかもしれません。
読んでくださって、
ありがとうございます。
縁側のあとで、少しだけ
ここまで読んでくださったあなたに、
もうひとつだけお話をさせてくださいね。
以前、心にモヤモヤを抱えていた頃に、
空飛ぶ引きこもり小説家、千聖さんの隠れ家カフェと出会いました。
ばぁばちゃん自身が、心から大切にしている場所です。
何度かメールでやり取りをする中で、
千聖さんのあたたかい言葉に、どれだけ救われたことか…。
この出会いに大きな勇気をもらい、リアルでもお会いすることができ、大切な思い出が一つ一つ増えています。
今は「好きなことを仕事にする生き方」を未来型*夢の降る道で学んでいます。
まるで大人のための寺子屋みたいな場所。
ここで「山ごもり竹川」という仙人みたいな方や、
私の心をやさしくほぐしてくれた千聖さんに出会うことができました。
よかったら、あなたもこっそり覗いてみてくださいね。


