認知症介護のヒント「もう限界…」と思ったら読んでいただきたい

「どうして言った通りにしてくれないの!?」
「なぜ分かってくれないの!?」
「もう介護していくことが限界!」
こんな気持ち、認知症介護をしていると一度は抱いたことがありませんか?
私も家族として、そして介護の現場でも同じように感じたことがあります。
イライラしてしまうのは、決して悪いことではありません。
それだけ一生懸命向き合っている証拠なんですよね。
でも、そのストレスの原因って何でしょうか?
実は「介護している家族の強い思い」が大きく関係しています。
イライラを感じたときの対処法
認知症介護でイライラを感じたとき、
私が現場で実践している方法をお伝えしますね。
例1:「歯を磨く」という動作

認知症の方は、「歯ブラシ」や「歯磨き粉」が何のためのものか分からなくなったり、「歯を磨く」という動作自体が理解できなくなることがあります。
そんな時、何度も「歯を磨いてください」と繰り返しても伝わらず、結果として介護者がイライラしてしまうことってありませんか?
でも、これって認知症の方が理解できていないだけなんです。
だからこそ、相手のペースに合わせて、わかりやすく説明することが大切なんです。
【具体的な声掛けの例】
- 目を見て、ゆっくり声掛けする
まず、「お口の中をきれいにするために歯を磨きましょう」と優しく声をかけます。同時に「歯ブラシ」や「歯磨き粉」を見せることで、視覚的にも伝わりやすくなります。 - 実演して見せる
それでも難しい場合は、実際に自分が歯を磨いて見せると理解しやすくなることもあります。 - 相手のペースに合わせる
認知症の方は、新しいことを理解するのに時間がかかります。焦らず、ゆっくり、繰り返し伝えていくことがポイントです。
例2:「洋服を着替える」という動作

認知症の方は、季節に合わない服を着たがったり、そもそも着替えること自体を忘れてしまうことがあります。
「そんな服じゃ寒いよ!」と
声を荒げてしまいたくなる気持ち、よく分かります。
でも、その一言がかえって混乱を招くことも。
【具体的な声掛けの例】
- 選択肢を減らしてシンプルに
「このシャツとこのセーター、どっちがいい?」と二択で聞いてみると、自分で選んだという満足感も得られます。 - 一緒に行動する
「私も着替えるから、一緒にやろう」と誘うことで、自然と着替えに導けることもあります。 - 天気や体感を伝える
「今日は寒いから、これを着ると暖かいよ」と具体的に理由を添えて伝えると納得しやすくなります。
例3:「お風呂に入る」という動作

認知症の方は、お風呂に入ることを嫌がったり、入る必要性を理解できなくなることがあります。
「どうしてお風呂に入らないの?」と強く言ってしまうと、逆に反発されたり、不安を感じさせてしまうことも。
【具体的な声掛けの例】
- リラックスできる雰囲気を作る
「お風呂であったまろうか」と穏やかに誘い、お風呂場を暖かくしておくと安心感が生まれます。 - 好きなものを取り入れる
好きな香りの入浴剤を使ったり、「お風呂で歌を歌おう」と楽しい要素を加えると前向きに受け入れてもらえることがあります。 - 少しずつステップを踏む
いきなり「お風呂に入ろう」と言うのではなく、「顔を洗おうか」「手を温めようか」と段階を踏んでいくとスムーズです。
イライラの根本にあるもの
ご両親や配偶者の介護をしていると
どうしても昔の元気だった頃の姿と比べてしまいます。
その結果、「前はできていたのに」と思い
情けなさや悲しみを感じてしまいます。
また、それがイライラの原因になることも多いんです。
大切なのは、今目の前にいるその人を受け入れること。
そう簡単に、受け入れる事は難しいかもしれませんが、
できなくなったことに目を向けるのではなく、今できることを一緒に見つけていくという気持ちが大切なのです。
私の経験から
私も、母と一緒に認知症の父を介護していました。
父は肺がんも患っていて、心身ともに大変な日々でした。
それでも、
「ありのままの父を受け入れよう」
「介護を楽しもう」
と心に決めて過ごしていました。
3年前、父は亡くなる三日前まで、共に食卓を囲み、父の好きな音楽を聴きながら過ごし、お陰様で苦しむことなく穏やかに息を引き取りました。
その経験が今も私の介護の仕事に生きています。
認知症の症状は人それぞれで、その人の性格や生活歴によっても違います。
私の経験が全ての方に当てはまるわけではないかもしれません。
でも、少しでもあなたの介護のヒントになれば嬉しいです。
最後に
認知症介護は、本当に大変です。
時には泣きたくなることも、
投げ出したくなることもあります。
でも、そんな自分を責めないでください。
あなたが頑張っているからこそ、そう感じるんです。
少しずつ、できることから。
あなたの頑張りは必ず伝わっています。
一緒に少しずつ進んでいきましょう。
介護を楽しむという視点を忘れずに、
あなた自身の心も大切にしてください。
心から応援しています。
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