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昼食に来なかったあの日──“いつもと違う”に気づいた私

介護

「あれ?」から始まった昼下がり

今日の職場での出来事です。

いつものように昼食の時間。


この施設では、12時までに食堂へ来ていただく決まりがあります。

でも今日は、ある利用者様の姿がありませんでした。
86歳の女性で、時間を守ってきちんと来てくださる方です。

「あれ?」
ほんの小さな違和感でした。
でも、その違和感が胸に引っかかりました。

胸騒ぎと訪室

ピッチでお声をかけると、「はい」と返事はある。
それでも10分待っても来られない。

やっぱりおかしい。

そう思ってお部屋を訪ねると、
ベッドで横になり、びっしょりと汗をかいていました。

いつもとは明らかに違う表情。

「大丈夫ですか?具合悪いの?」

そう声をかけると、私の首に手を回しながら、
「私ボケちゃったみたい…こんなこと初めてよ」と、
とても不安そうにおっしゃいました。

ただ寄り添うことしかできなくて

体を起こそうとしても苦しそうで、また横になられる。
目を閉じたまま、手を伸ばしてこられるので、
私はその方を抱き寄せ、背中をさすりながら

「大丈夫、大丈夫ですよ」と
繰り返し声をかけました。

バイタルを測ると血圧は高め。
酸素飽和度は問題なし。

けれど、どう見ても「いつもと違う」。

不安と焦りの中で

娘さんへ連絡を取り、来ていただくことに。
その間、何かできることはないかと考えました。

チョコレートを口に入れてみても吐き出してしまう。
ブドウ糖のタブレットをほんの少しなめてくださったけれど、
大きな変化はありません。

「救急車を呼んだほうがいいかもしれない」

そう思いながらも、
自分の判断に自信が持てず、ただ時間が過ぎていきました。

揺れる気持ち

そんな中、別の介護士が来て強い口調で言いました。

「脳梗塞起こしてるよ!もう止まってる!!」

その言葉に、心が大きく揺れました。

顔をたたき呼びかけています。

私はベッドから離れ、
ただ見守ることしかできませんでした。

その対応が少し乱暴に見えて、
戸惑いと不安が入り混じる時間でした。

娘さんの声

やがて娘さんが到着し、
「お母さん、大丈夫だよ。一緒に行こうね」と
優しく声をかけていました。

その光景を見たとき、
胸の奥がぎゅっと締めつけられるような思いがしました。

「どうか無事でいてほしい」
ただそれだけを祈っていました。

そして安堵へ

夕方、娘さんが戻ってきて教えてくださいました。

原因は低血糖。
救急車の中でブドウ糖の点滴を受け、
意識も戻り、会話もできるようになったとのこと。

その言葉を聞いたとき、
全身の力が抜けるようにホッとしました。

「ありがとうございました」

その一言に、どれほど救われたか分かりません。

心に残ったこと

救急車を見送ったあと、
私はしばらくぼーっとしていました。

「もっと早くできたのではないか」
「私の判断は正しかったのか」

そんな思いが頭を巡りました。

けれど今は、こう思います。

あのとき感じた「違和感」は、
きっと間違っていなかった。

そして、そばにいて
「大丈夫」と声をかけ、背中をさすり続けた時間も、
決して無駄ではなかったと。

今日の縁側便り

人の命に向き合うということは、
正解のない中で判断を重ねることなのかもしれません。

それでも、
「いつもと違う」に気づく心と、
そっと寄り添う手だけは、忘れずにいたい。

今日は少し疲れました。
温かいお茶でも飲んで、ゆっくり休もうと思います。

お読みいただき、ありがとうございます。

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